エッセイ
オリンピックが終わりました!〜ロンドンからのメッセージ
小玉もな先生 ロンドンで英国スズキ協会のヴァイオリン科指導者として活躍されている小玉もなさんから、オリンピックに関してのエッセイが届きましたので、さっそくご紹介します。さすが地元にお住まいの小玉さんならではの視点で、興味深いですよ。
ロンドン市内にオリンピック専用レーンが用意されましたが、違反すると200ドルという罰金は本当です! 最初は大問題になるのでは…という懸念もあったようですが、ふたを開けてみれば、オリンピック専用レーンは私が見かけた限り、「Switch Off」されていました。電光掲示板に「すべての車両(自家用車・トラックなど)もオリンピック専用レーンを使ってもいいですよ」と表示が出ていましたから。
ロンドンの道路だけでなく、地下鉄・鉄道もそうでしたが、「オリンピック開催中は大混雑する」というウワサ? が事前にたくさん流れたので、オリンピック開催中はロンドン市民がロンドンから避難し、ゲーム終了後以外はかえって普段より道路も電車も空いてたんです! 実際に罰金を取られた人がいるのか、私も気になります…。
感激した競技は、やっぱりなでしこジャパンでした。澤選手にゴールキーパーの福元選手!がとてもよかったですね。澤選手のパス回しや、相手からボールを奪う技術、それに物事に対する反応の速さに驚きました。他の選手よりも格段に上手いのが、サッカー音痴の私にも分かりましたよ。
福元選手のジャンプ力はもとより、直感でしょうか。相手選手の考えていることが瞬時に分かる能力が素晴らしくて、好セーブを連発していました。「にわかサッカーファン」の私には、感激あるのみでした!
私は準決勝と決勝戦の両方を観に行き、張り切って早めに会場に着いたので、なでしこジャパンだけではなく、相手チームのピッチでのウォームアップから観ることができました。その時、日本のゴールキーパーの福元選手と海堀選手だけが、横に飛んで転ぶ練習を繰り返ししていました。大怪我しないために「ちゃんとした転び方」の練習をきちんとしたり、身体に覚えさせるための反復練習の大切さを実感しました。→どこか、スズキ・メソードと何か通じる部分がありそうですね!
全世界でも同じ状態だと思いますが、イギリス経済もここ数年間は、ものすごい不況で苦しんでいます。どの人も必死で働いているのに生活が苦しく、子どもからお年寄りまでものすごいプレッシャーの中で生活しています。ここ最近はあまり笑顔を見せたり、他人に親切にする、ということがなかったように思います。
ところが、各オリンピック会場では、たくさんのボランティアの方々が一生懸命に働いていて、どの人も笑顔で、フレンドリーで、和やかな雰囲気でした。
ロンドンでオリンピックを開催する、と決まってから、今までの「古きよきロンドン」から「新しいロンドン」に、ずいぶん生まれ変わったと思います。オリンピックのお陰で、地下鉄の線路が新しくなり、新しい電車やバスの車両も新しくなりました。一部の地下鉄の路線にだけですが、クーラーも導入されました!! (日本では当たり前のクーラーですが、ここイギリスではすごいことなのですよっ!) 水道管・ガス管などを新しくするために、道路を閉鎖しての工事が何年もの間延々と続きましたが、今はそれも終わり、きれいな道路になりました。
と書くと聞こえはいいですが、これらの工事のために何年もの間、週末の電車運行停止やら、道路渋滞やらの税金の増額などの被害をこうむりましたが…(苦笑)。
2012年8月19日〜の夏期学校を知らせるチラシ 教室の子どもたちは、只今夏休み真っ最中で、会っていないので、オリンピック後の感想は分かりませんが、夏休み前の学期では、どの学校でも「オリンピック」にまつわるいろいろなイベントを開催したり、作曲したり、詩や絵を書いたりする課題が出されたりして、盛り上がっていました。実際にオリンピック観戦に行く予定だった子どもたちは、興奮していましたよ。
英国スズキ協会でも、オリンピックをテーマにしたグランドコンサートを3月に開催し、多くの生徒さんが、オリンピックカラーのお揃いのTシャツを着て演奏しました!
一部のスズキの生徒さんは、オリンピックの開会式などで演奏したり、合唱で歌っていたりしたみたいです。開会式が終わるまで、「詳しいことは話さない」というオリンピック委員会との約束があったらしく、詳しい話は教えてもらえませんでしたが、学校や所属しているオーケストラに依頼が来たみたいです。
次回は、ロンドンの夏期学校の様子をレポートしますね。お楽しみに。
ロンドン 小玉もな(英国スズキ協会ヴァイオリン科指導者)