エッセイ
ロンドンに帰国直前の成田空港から、小玉もなさんのレポート第4弾!
小玉もなさん 世界大会が始まる前日の3月26日(火)に、東京の六本木でコンサートを開催しました。会場は、デザインKホール六本木で、19:00開演でした。
曲目は、前半にポーランド出身のカシャ・ボロヴィアック先生が、故郷の作曲家ショパンの名曲(マズルカやワルツ、ノクターンなど)をたっぷりとソロ演奏してくださいました。
後半、私とのデュオで、
・ヴィエニャフスキー:「2つの性格的なマズルカ Op.12」より「オベルタス」「田舎の楽士」
・クライスラー:愛の悲しみ
・ブルッフ:スウェーデン舞曲 Op.63-1
・クライスラー:美しきロスマリン
・バルトーク:「ルーマニア民俗舞曲 Sz.56」
このラインナップをご覧になってお気づきのように、今回は舞曲を中心にお届けさせていただきました。
普段私が行なっている演奏会とは、まったく違った演奏会でした。
いつものとおりだと、本番前日にしっかりリハーサルをします。コンサート当日は、家でウォームアップをしてから会場入りをします。が、今回は本番前日の25日に、英国スズキ協会(BSI)の団体52名および、コンサートでご一緒するピアノのカシャ・ボロヴィアック先生が日本に到着することになっていたので、朝1番に成田空港へお迎えに行き、そのまま浅草・上野へ観光に行きました。夜は彼らと一緒に都内のホテルに宿泊していました。
それで、コンサート前日はほとんど練習できなかったので、「コンサートを開く」という実感がありませんでした。
コンサート当日もいつもと違って、うちでウォームアップすることができないので、朝から練習室をレンタルし、そこでカシャ先生とリハーサルをして、夜の本番を迎えました。
しかも、(あまりそうは見えないらしいのですが、)私はマイクを持って人前で話をすることがとても苦手で、いつもはピアノ伴奏の方にトークの大部分をお願いしています。今回は(私にとって)残念ながら、カシャ先生が日本語を話せないので、なんと、私もマイクを持って慣れない通訳をすることになり、その流れでたどたどしく曲紹介などもしました。いやぁ、ヴァイオリンを演奏するよりも、すごく緊張しました…!
それに、通訳やトークだけが大変だったのではなく、会場の音響があまり良くなく、演奏するのも、音を作るのも普段より大変で、神経を使いました。もうちょっとリラックスして、楽しく演奏できたらよかったな…と思います。 たくさんの方々が聴きに来てくださったのに、ちょっとテンパり過ぎちゃいましたね。OB・OG会の木村会長をはじめ、多くの皆さんに来てもらえたのは、とても嬉しかったですよ。
英国人は大概「田舎」が大好き!
世界大会が開催される松本へ向かう特急あずさの中で、わが同胞たちは、「山が見える!」「木がたくさんはえてる!」などと興奮し、車内からたくさん写真を撮っていました。ただ、英国の田舎では必ず見かける牛や馬、そして羊の放牧を全く見かけなかったので、英国人たちから、「日本には“生きている”牛や羊がいるのか?」と何度も聞かれました。
世界大会交流ラウンジでの一こま。中央がもなさん、その右はヴァイオリン科出身の棋士、佐藤康光さんです 松本に到着した3月27日は、実は朝5:30に都内のホテルを出発して、電車で新宿へ向かいました。特急あずさの車内では興奮して少々疲れ気味だった英国人たちが、松本に到着した瞬間、どの人たちも元気になりました。
「空気が東京と違って、新鮮だ!」と口々に言っていました。
BSIから参加した52名中、半数以上の人が初日本・初松本でしたが、人によっては、30年ぶりの日本・30年ぶりの松本だったそうです。松本駅から(世界大会登録会場の)まつもと市民芸術館まで彼らと一緒に歩いて行くのは至難の技でした。どの人も、見えるものすべてを写真に撮り、感想を述べ合い、信号や車などは、まったく目に入らなかった様子でした!
世界大会期間中に体験したことは、BSIの人たちにとってすべてが刺激的で印象深かったようです。彼らが特に感動していたエピソードをいくつか紹介しますね。
1つ目は、開会式・閉会式が1分たりとも遅れずに開始したことです。
イギリスでは、電車すら時間通りに運行する事はめったにありません。ロンドンの地下鉄やバスには時刻表もありません。時刻表には「10時から14時の間は5-12分間隔で運行」などと書いてあるくらいです。英国人たちがどんなに感動していたかおわかりでしょう! 日本滞在中は「待ち合わせは日本式時間で8時集合!」と言いあって、時間厳守の練習をしました!(苦笑)
2つ目は、滞在していたホテルの近くのラーメン屋さんに、多くの方が日参していたことです。今回のBSIの参加者の中で、ラーメンと餃子が密かなブームになっていました。ことあるごとに、みなさん食べていました。松本に到着した最初の日にたまたま私が入ったラーメン屋さん(むつみ屋)が美味しかったので、BSIの1人に話をしたところ、あっという間に噂が広まりました。最初は写真付きの日本語のメニューしかお店に置いてなかったのに、なんと3日目には英語のメニューが登場していました!
世界大会そのものも、日に日に進化していて、対応の速さに驚いていました。こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、世界大会の関係者も、ラーメン屋さんも、世界大会参加者が期間中少しでもハッピーに過ごせるように、私たちが気がつかないところで一生懸命にがんばってくれていたのを感じました。本当にお疲れさまでした。
3つ目は、松本の街全体が青いバックで埋め尽くされ、すれ違う人同士が(知らない人同士でも)笑顔を交わしたり、話をしたりして、「スズキ・ファミリー」を実感できたことです。
それにしても元気。左からベルリンから参加の星野先生、もなさんのお姉さんの由貴さん、ベルギーのクン先生、そしてもなさん。撮影時刻は、明け方5時でした スズキ・メソードが世界中にあり、どこにいても、同じ理念、同じシステム、同じ教本を使って勉強していることを頭で理解できていても、今回のように5,000人以上の人が同じ場所に集まり、同じ時を共有することで「スズキ・ファミリー」を実感したのは初めてだったそうです。松本の街のどこを歩いていても、フレンドリーな雰囲気で、温かい気持ちになったそうです。
スズキ・メソードOB・OG会が、ホテルブエナビスタで「交流ラウンジ」を開いてくださったお陰で、普段だったら話すチャンスのない人同士が知り合いになれたのは、よかったです。ただ、このラウンジの存在を知っている方があまりいなかったのが残念ですが、次回の世界大会では夜のラウンジだけではなく、お昼のお茶会ラウンジもあるといいなー、なんて声を聞きました。
番外編では、チェロ科の椅子が高さによって色分けされていて、生徒たち各自が自分のイスの色を知っていた、ということです。そしてもっと驚いたのは、この椅子の脚をチェロ科の先生が一生懸命1脚ずつ切って、準備をされていたことです! (おおざっぱな英国人が真似して椅子の脚を切ったら、脚の長さがバラバラになってそう…)
京都で桜を満喫!
世界大会後に1泊2日の予定で京都に行きました。幸運なことにちょうど桜が満開で、いろいろな種類の桜が開き、京都の街が様々な色のピンク色に染まっていました。英国にも桜はありますが、やはり日本の桜は見事で、どの人も感激し、桜を見ては写真を撮っていました。桜だけで500枚以上もの写真を撮った人も何人かいました。夜はあちらこちらで街並みと桜がライトアップされてると聞き、それぞれで観に行ったようです。私は7人の英国人たちと祇園白川の夜桜見物に行きました。
その時にお座敷に向かう舞妓さんや芸妓さんの数人とすれ違いました。英国でも、日本でも話題になった『SAYURI』(Memoirs of a Geisha)という映画が大ヒットしたので、英国人の多くがこの原作本を読んだり映画を観たりしていました。ナマで見る舞妓さん・芸妓さんのお化粧方法などを詳しく観察していました。京都では有名な観光地である金閣寺や清水寺、二条城などに行きましたが、彼らの京都の感想は「桜がキレイだった!」の一言です。
OB・OG会の練習に飛び入り参加!
もなさんの参加で、楽しい場となった初練習 4月7日(土)のOB・OG会の皆様の第4回コンサートに向けての初練習に、飛び入り参加させていただきました。温かく歓迎してくださって、どうもありがとうございます!勝手に参加して、第2ヴァイオリンのトップで好きに弾いて、ぐちゃぐちゃ引っかき回して…って、皆様に嫌われてなければいいのですが(大丈夫ですよ!とOB・OG会より)5月の本番がうまくいくといいですね。成功をお祈りします!
ロンドンに帰ったら、生徒たちの練習スタイルとして、さらに復習に力を注ぐ予定です。松本での世界大会に参加して、改めて復習の大切さを感じました。さぁ、がんばるぞ! みなさんも基本を大切に、ですね! ではまた!